東京医科大八王子医療センター(東京都八王子市)で00〜07年に生体肝移植を受けた患者52人中20人が手術後退院できないまま死亡していた問題で、死亡した男性患者1人の遺族に不適切な治療があったことを同大が認めて謝罪し3000万円を支払っていたことが分かった。同大は昨年12月、検証委員会の報告を受けた会見で「医療行為のミスはなかった」とし、謝罪の件を公表していなかった。
厚生労働省は同大から事情聴取する方針。同省臓器移植対策室は「不適切な医療行為があったなら、昨年12月の報告時に説明すべきだ」と指摘している。
医療センターによると、謝罪したのは都内の50代男性の遺族。男性は06年8月1日に親族の肝臓の一部を移植する手術を受け、術後に肝臓の血流改善の開腹手術を受けた際、大腸に穴が開いていることが判明。移植の拒絶反応を抑えるためのステロイド剤の大量投与も受けており、10月3日に細菌感染による敗血症で死亡した。
同大は(1)大腸の穴が確認された段階で細菌感染の疑いがあったにもかかわらず、細菌検査を怠っていた(2)拒絶反応の有無を確認する検査もなくステロイド剤を投与して敗血症を助長させた−−として不適切な医療行為だったと結論づけていた。
遺族は死因の説明を求めてきたが、同大は09年5月になってようやく遺族に謝罪し、同7月に見舞金3000万円を支払った。
高沢謙二センター長は「大学側が見舞金を支払っていたことは知らなかった」と話している。【青木純】
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