鳩山由紀夫首相は15日、中央省庁の幹部人事を一元化する「内閣人事局」の新設を柱とした国家公務員法改正案で、事務次官、局長、部長の3クラスを統合し、同格にする条文を盛り込むことを決めた。名目上の「降任」はなくなるものの、次官から部長への実質的な格下げを容易にさせ、幹部人事の弾力的な運用を目指す。政府は19日にも法案を閣議決定する方針だ。
首相は15日昼、首相官邸で仙谷由人国家戦略担当相や原口一博総務相ら関係閣僚と協議し、合意した。
政府は当初、次官級と局長級を統合して部長級と区別する2段階の職制を導入する改正を想定。その上で、次官級から部長級への降任を可能にする特例規定を新たに盛り込む案を12日に閣議決定する予定だった。
だが、当初案では、次官・局長級から部長級への降任には「勤務実績が劣る」「他の職員の方がより優れた業績を上げると十分見込まれる」などの条件を必要としていたことから、原口氏が「条件が厳しすぎる」と見直しを求め、閣議決定を先送りしていた。
給与のあり方は今後、人事院と調整するが、ポストに応じて支給する現行制度を維持する方向だ。この場合、次官(年収2290万円)が部長(モデル平均同1590万円)に「降格」すれば、年収は700万円減ることになる。
生殺与奪を政治家に握られる官僚側からは「政治家のご用聞きになるだけの職員が増えるのではないか」との懸念も出ている。
これに対し首相は15日夕、首相官邸で記者団に対し、「やる気があれば(幹部に)抜擢(ばってき)する。やる気がない人には厳しい。(法改正は)公務員にやる気を持ってもらうためだ」と、改正の意義を強調した。
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